(此花学院高校勤務、大阪住吉RC推薦)
1994年3月13日より1カ月間、RI第5650地区・アメリカ中西部(ネブラスカ州とアイオワ州の一部)において、貴重な体験をさせていただきました。
まず始めに、このような素晴らしい研修と国際交流の機会を与えて下さった国際ロータリ一第2660地区のロータリアンの皆様方に、厚く御礼申し上げます。特に、東南ロータリークラプの皆様方には、出発前の2月には例会を訪問させていただき、今日また「家庭集会」にもお招きいただき、ありがとうございます。
また会長の松林様には、ご親切にも大阪国際空港までお見送り、お出迎えいただきましたこと、心から感謝申し上げます。
そして何より、当クラブの奥田団長には、出発の1年以上も前から本当にお世話になりました。皆様もご承知の通りの素晴らしい英語力で、旅行中、随分と助けていただきました。実際、アメリカ人のみならず、クラリンダの街では日系企業の駐在員と、またヨークに於いては大学に留学中の日本人学生達と直接会って話をする機会もありましたが、その感想として、「奥田さんのようにセンスのある英語を話される方には、今まで出会ったことがない・・・」と言わしめる程に追力のある英語でした。私達が安心してプログラムをこなしていくことができたのも奥田団長のお力添えのお陰であり、感謝の念に耐えません。
帰国後、早くも1カ月が過ぎましたが、いまだ覚めやらぬ感動と研修の成果を、今日は皆様方に少しでもお伝えできればと思っております。
思えば昨年の3月28日、『願わくば、観光旅行以外でアメリカに行き、アメリカの普通の生活を体験してみたい!』という気楽な気持ちで望んだGSE選考試験の当日、いきなりの英語の面接で、日本文化について尋ねられ、満足な答えもできず落ち込んだこと。またその後、たくさんのロータリアンの方々とお会いし、ロータリーの活動やその精神についてお話を伺う機会が何度かあり、その度ごとに団員相互に決意を新たにしたこと等、懐かしく思い出されます。また今回は幸運にも、私達チームの出発前の昨年10月にネブラスカ・チームを受け入れることができた為に、彼らと事前の面識ができただけではなく、淡路鳥に日帰りで旅行したり、カラオケに繰りだしたりと、十分に互いの交流を深めることができました。
そして、今回の長かったようで、短かかった4週間のアメリカ滞在。合計で16カ所のロータリークラブを訪問しました。ウイーク・デイはほぼ毎日、例会に出席するというハードスケジュールでしたが、たくさんのロータリアンと出会い、凝縮した有意義な時を過ごすことができました。例会の雰囲気が日本と少し異なり、初めの頃かなり緊張したことも、今では懐かしい思い出です。通常の例会は昼食時に開かれますが、ロータリアンは三々五々に例会場に集まり、まずビュフェ式の食事を取って席に着くと、あちこちで自由に食事と談笑が始まります。その後、適当な時間になると点鐘、そしてプログラムが進行するという非常にフランクな形式でした。が、こういう形の例会は初めてであり、また、奥田団長の指示でメンバー各々がバラバラの席に散らばり、最初は不安で戸惑いましたが、こちらが挨拶と自己紹介をすると、向こうからも親しく気軽に話し掛けて下さり、すぐに打ち解けて楽しく過ごすことができました。
また、受け入れ地区と各ホストクラブのご配慮で、行政機関・裁判所・学校・病院・地場産業から地域の文化や歴史を知る博物館に至るまで、盛りだくさんのプログラムを立てていただきました。
毎日が、新鮮な驚きと感動の連続でした。私は職業柄、アメリカの学校について以前から興味があり、実際にも小学校から大学まで合計12校を視察させていただきました。その印象を一言で言うと、自由でのびのびとしているということです。これは多分、アメリカには受験戦争がないということに起因しているのでしょう。
授業もいくつか見学させていただきましたが、知識中心の詰込み教育ではなく、自分自身の意見を持ち、討論することが重視されており、実際に、生徒と教師間または生徒同志でのディベートなどは、なかなか迫力がありました。
特に、高校については予想通り、服装・化粧・髪型も全く自由で、日本の大学のような雰囲気でした。これら学校訪問の中でも最も印象の強かったリンカーン・ハイスクールを紹介したいと思います。
ここには何と、高校生のための保育所があったのです!現在、アメリカでティーン・エイジャーの妊娠・出産が大きな杜会問題となっていることは知っていましたが、この事態が、高校の中に保育所が設置されるところまで進んでいるのかと、かなりショックを受けました。確かに、全ての生徒に平等に教育を受ける機会を保障するという点では、素晴らしい制度です。またこれは、生徒が学校で勉強している間に、子供を預けるためだけの施設ではなく、生徒が子供の発達や健康について関心を持ち、育て方を勉強するための役割も担っているのです。日本でも、他人事ではなく、これから大きくなり得る問題のように思います。しかしながら未成熟の高校生がその子供を産み、育てるという、一見してマイナスにとられる事象についてもプラス思考でとらえようとしているところは、いかにもアメリカらしい発想だなあと感じました。
今回の忘れられない体験として、ホストファミリーとの出会いもありました。4週間で12家庭のホームステイ先ということで、1軒当り大体2泊、長い滞在で3泊、中には1泊だけという家庭も2軒あり、大変忙しく駆け足の移動でした。しかし、有り難いことに短期間にもかかわらず、どこの家庭でもゲストというよりもむしろ家族のように、親しく素顔のままで迎えていただきました。一緒にゆっくりと過ごす時間が短かかったことは少し残念でしたが、色々な家族形態と職業のロータリアン家庭に泊まることができ、たくさんの人々の生活を間近に見ることができました。
そして、その経験から共通して言えることは“彼らは皆、家族を愛し、互いに信頼し、そして、自分達のコミュニティーを誇り、その街を大切に愛している”ということです。 日本でのアメリカに対するイメージは、「個人主義。銃の所有が自由だから怖い。犯罪が多い。日本人は犯罪の対象として狙われやすい。」といったマイナスのものが、特に最近多いように思います。しかし今回、訪問したミッド・ウエスト地区は、それらとはかなり異なったており、まさに日本の田舎に近い部分がたくさんありました。
例えば、自動車を駐車する時、たいていの人がドアをロックしていませんでした。コミュニティーの基盤がしっかりしており、一人ひとりの心が豊かであればこそ、このように安全なのでしょう。今回、このような古き良き時代のアメリカの香りが残る地区を訪間し、人々と触れ合うことができ、第二の故郷ができたようです。
今回のGSEチームの一員としての研修は、将来もかけがえのない一生の思い出となることは間違いありません。若者にこのように有意義な研修と魅力溢れる国際交流のチャンスを与え続けている国際ロータリーの組織の偉大さを改めて痛感いたしました。しかし、ロータリーの目標とする「国際理解と国際親善」は、このような一人ひとりの小さな出会いから生まれるのかもしれません。私自身、この経験を永く暖め、これからも微力ながら、何らかの形で、ロータリーのお役に立てればと思っております。最後に改めて、このような素晴らしい機会を与えて下さった、今日、この場にもお見え下さったR.I.第2660地区ロータリー財団委員長の古田パストガバナー、そして大阪東南ロータリークラブの皆様方に厚く御札申し上げます。