(高校教師、数学・化学担当)
GSEプログラムのチームメンバーの一員に選ばれたその日から、私の日本に対する関心は増大して行きました。特に、今年になってからは、テロリストの攻撃や地震のニュースが相次ぎました。
出発2週間前に、日程の小冊子が手に入りました。これから経験することすべてについて読むのは大変にエキサイティングでした。ホスト家庭に関する情報も彼らの電話番号、住所などすべて記載され、親族や知人が日本に連絡をとれるよう配慮されていました。この小冊子と日程を読んで、日本に行くのだ!ということが理解できました。
準備は大仕事でしたが、ついに出発することになった時は、十分準備ができていて、ほっとしました。
ホストファミリーとともに暮らすというアイデアは、優れています。家庭で暮らし、生活を共にすることほど、一つの国をよく理解する方法はありません。日本に来る前は、リビングルームの片隅に布団を敷いてもらうようになるのではないかと思っていました。しかしそれは間違っていました。すべてのホスト家庭が、私のために別室を用意してくれました。畳に布団という日本式の場合が多かったのですが、それはビューティフルに感じました。一日のうちで最も興味深かったのは夕食でした。何を食べることになるのか、分からなかったのです!私は日本の料理、つまり、寿司、刺身、焼き鳥、てんぷら、すきやき、などを試食しました。もちろん、典型的な米のワイン、お酒も味わいました。
ホスト家庭の一部では、他の家庭よりも英語で話すのが楽でした。しかし、言葉が通じにくい家庭では、英語が話せる誰かをいつも招いて下さいました。家族とその生活ぶりを知るのに、お互いに話すことはとても重要ですから、有り難く思いました。私は私の親切なホスト家庭の楽しい思い出で一杯です。平田さんのお家では私の30才の誕生日のお祝いをしました。増井さんのお家では立派なガーデンパーティ。お孫さんも素敵でした。矢田さんのお家では着物を着てお茶席に出ました。木村さん、素晴らしい食事と雰囲気を有り難う。佐藤さんのお家では、結婚観についてディスカッションしました。これらはホストファミリーの思い出の一部に過ぎません。
スケジュールは、大変に興味深いものでした。最初のうちは、毎日別の人が付ききりで行動するので戸惑いました。私はよく旅行していますし、コミュニケーションをすることで自分をオリエンテーションして行くことに慣れています。しかし、数日すると、ただ付いて行く方が楽だと悟りました!私たちの付き添いをして下さった方々は、どの日も日程を詳細に組んでいました。一分一分がプランされていました。
大阪近辺の都市、京都、奈良、神戸そして広島行きが好きでした。京都と奈良で見た美しいお寺はワンダフルでした。奈良でのレストランは、滞在中の日本食レストランの中で最高の店の一つでした。料理はおいしくて、美しい部屋で座りました。神戸と広島訪問は興味深かったのですが、後で悲しくなり、気落ちしました。
最後の週に、私たちはスウェーデンから帰ったばかりの日本のGSEチームに会いました。私たちは、いろんなことを比較して笑いあいました。例えば、最もよく訊ねられた共通の質問についてなどです。
土曜日をホテルニューオータニで過ごすことは、大変に良かったと思います。24時間、自分だけで過ごせるのはとても素敵でした。一つのホスト家庭から次のホスト家庭に移動する間に中立国があるようなものです。過ぎた一週間を振り返り、次の週の準備ができます。
この教育的プログラムを通じて、私はロータリーについて新しいことを学びました。それはただ男の人がランチを食べてビジネスの話をするだけの会ではありません。3H、ポリオプラス、青少年交換、「医師銀行」など、ロータリー財団の活動を通じていろいろの興味深いプロジェクトがあることを知りました。(注:GSEは現在はロータリー財団の「文化交流プログラム」とされている)
大阪にいる間に約15のロータリークラブの昼食例会に出席しました。私たちは、スウェーデンを紹介するカラースライドで特別プログラムを組みました。多くのクラブがわが国のことを興味深く聞いてくれました。プログラムの後、いくつかのクラブではディスカッションする機会がありました。最も多かった質問は、社会福祉制度と男女の平等についてでした。
大阪そねざきロータリークラブは、女性会員が77%を占めていました。このクラブでディスカッションできたら面白かったのにと思いました。男の人とだけ議論するかわりに、女性とこれらの問題について話し合いたかったのです。
日本に来る前に、日本の学校制度で何を見たいか、書いて知らせることができました。私は高校の数学と化学の教師ですから、この専門分野の教育について知りたいと思いました。また、いろんな種類の学校(私立、公立、男子校、女子校)を訪問し、いろんな年齢の学生(子供たちから大学生まで)に会いたいと希望しました。この私の希望をかなえるように、プログラムはよく準備されていました。
多くの点でスウェーデンの学校と日本の学校は似ていました。一番大きい違いは、学生の規律です。誰もが制服を着ていましたが、これはこれで美しいと感じました。学生たちは質問に答えるときは起立します。教科書にきれいな字で書き込みをします。先生が黒板に色のチョークで書けば、生徒も色文字を書きます。先生の言ったことに質問する学生は見かけませんでした。
日本の学校制度は我々と同様に、基礎教育(6年)、中学校(3年)、高等学校(3年)そして大学校です。しかし我々はそれぞれのレベルに入学するのに日本と違う方法を採用しています。終了したレベルの評価点を用いるのです。日本ではそれぞれのレベルで入学試験があり、これらのテストは合格するのがかなり難しいのです。「塾」に放課後通って、エキストラの勉強をするのが普通です。通常の学校の後の、アフターヌーン・スクールというところです。私はこの「塾」を2カ所訪問しました。この「塾」は動機を持って勉強する高齢の学生にはよい助けとなると思います。しかし、10才かそこらの子供たちにとってはどうでしょうか。彼らは何時、子供に帰って遊ぶことができるのでしょうか?
いろんな学校への訪問は、よく計画され、歓迎されていると感じました。清風学園高校では、3000人の学生の前でスピーチをしました。最初ステージに上った時、「学生の海」がある感じがしました。私のスピーチが終わると学校のオーケストラがスウェーデン国歌を演奏し、私は大変誇らしく思いました。東高校では、新しい科学コースが始まっていました。学生が小さなグループに分かれ、コンピュータ・サイエンスや化学の勉強をするのを興味深く見学しました。先生も大変に熱心でした。大阪教育大学では多くの興味深い人物、数学や化学の教授たちにお会いしました。教育システムについての討論をしました。
私は、自分の職業研修に、全体として満足しています。日本の大阪への旅行は、ロータリーとともに私の決して忘れ得ない体験となりました。この奨学制度により、他国を訪問し、その文化に触れ、自分の職業に関する研究をできる機会が得られ大変に良かったと思います。一人の教師として外国に旅行し、仕事上の体験を得ることは普通ありえないことです。このGSEプログラムのために大変なご尽力を頂いたロータリーとロータリアンのすべての方、そして日本とスウェーデンで得た私の新しい友すべてに深く感謝します。