ロナルド・ファン・リーンデンの感想

参加動機

このGSEに参加したのは、いくつか理由がありました。主な理由は、6週間に亘って、日本の生活様式を経験する機会だからです。このことは、私の専門外のトピックについて私の知識、日本の社会的、文化的、企業局面を拡げる機会を与えてくれます。さらに専門的な理由はサプライチェーンで価値創造機会を見つける日本的なアプローチを、諸機関への訪問や物流担当幹部との話から知る機会となることでした。また別の重要な事実は、この旅行中、異なった仕事を持つ人間のグループの中で、集中的に交流する機会ということでした。最後に忘れてならないのは、アジアのこの地域を旅行し、日本の自然美を発見することでした。

ホスト家庭

日本に滞在した6週間で、私は日本の数家庭とともに暮らし、いろんな話題についての興味深いディスカッションを家族レベルで行いました。これらのホスト家庭のホスピタリティは本当に信じがたい程でした。彼らはファンタスティックで、到着早々から、アットホームにしてくれました。私の滞在を成功に導くため、とてつもない努力が払われました。素晴らしい朝食やすき焼き、てんぷら、シャブシャブ、いろんな寿司の準備に払われた努力を、私は決して忘れないことでしょう。私の全ての交通、洗濯等が準備され、家庭内でプライベートな場所を提供されました。このことにつき、大いに感謝します。

体験

6週間の間に私は日本的な生活様式を体験しました。それらは、神社やお寺への訪問、着物を着て街を歩く女性、相撲見物、混雑しているが大変効率的で時間に正確な鉄道システム、装飾は美しいが高価な店、サクラ見物ピクニック、全てを完ぺきに計画し組織する日本人の能力、リラックスする温泉、その他多くのことです。ヒロシマ訪問は私に大きな印象を与えました。新幹線での旅行は、海や山の美しい眺めで素敵な経験でした。しかし、モニュメント及びミュージアム訪問は、この地でどのような種類の災害があったかを認識させてくれました。

ロータリークラブ訪問は私のプレゼンテーション技術、歌唱能力を披露し、いろんな興味深いロータリアンと知り合いになる、特別なそして良い機会となりました。ロータリーの例会は素晴らしい場所で開かれ、おいしいランチが供されました。もう一つ良かったことは、我々のチームスピリットでした。6週間の間、我々は一緒になって大いに楽しみました。特に週末にはホテルニューオータニでおいしい夕食を食べながら、あるいは翌日曜の日本の夜を満喫した後の朝食で、多くの体験談を分かち合いました。

職業研修

GSE旅行の間に、私は多くの会社を訪問しました。アサヒビール、朝日新聞、ダイハツ、松下パナソニック、三菱重工、リコー、S/Aライン(運輸)、サンヨー、西武百貨店そして資生堂です。この訪問で私は自分が経験した日本の典型的なサプライチェーンと物流関連の体験について述べます。それは私が訪問した企業とその幹部とのインタビューをベースにしていますので、全産業に通用しないかも知れませんが。

ロジスティクスの革新、改善への取り組みを法規が制限
日本のある種の業界(例えば小売り業)では、サプライチェーンの中で、一つのチャネルを飛ばすことが、現在のところ禁止されています。一例を挙げると、ビールを醸造所から直接に小売りアウトレットに配達することは許されていません。商品は卸売業者に配給され、彼らが小売りアウトレットへの配給を担当します。これは、ヨーロッパやアメリカの状況と異なります。ヨーロッパやアメリカでは、製造現場から小売りチェーンへ直接配給する(卸売をバイパスする)ことにより、全体での流通コストを削減する傾向が見られます。別の例は自動販売機でのビール販売に関係しています。日本では、現在、ビールが多く自動販売機を使って販売されています。法律の改正が企画され、これは近い将来(ほぼ2002年)に禁止されるでしょう。これは未成年者がビールを自動販売機で買えることと関係しています。新しい法律が適用されると、自動販売機による缶ビールの販売量は他のチャネルによって代替され、おそらくロジスティクスのコストは増大します。自動販売機による缶ビールの販売は、他のチャネルによる販売に比べて、コストが低いことを考えれば、この処置がビール醸造業のコスト構造を増加させる可能性があります。

オートメーション対人員削減
企業は、人員削減の目的での自動化を欲していないように思われます。新しい労働力の付加が求められた場合に限り、最新の革新が発議されます。SAライン(運送会社)を訪問した際、大阪の大コンテナーターミナルの一つに行きました。ここでは未だ、大変に労働集約的でした。コンテナーは、自動化された搬送設備(ロッテルダムのECTのようなもの)の代わりに、未だにカウンターバランストラックとオーバーヘッドクレーンで運ばれています。このターミナルのロジスティクス担当幹部は、現在の被雇用者を脅かすから、自動設備を望まないと語りました。と同時にこの会社は新しいプロジェクトの一つ、大阪の新しいコンテナーターミナルの開発に最新のテクノロジーの導入を計画しています。

小売業における自動化は、ヨーロッパとアメリカに遥かに劣るように思われる
例えば百貨店のような小売業では、伝票ベースの作業がまだ普通です。このギャップを埋めるため、アクションが起こされています。一つの中央サーバーに情報を蓄えるために、企業資源システム(ERP)は導入されます。このシステムの良い点は、最新の情報がオンラインで手に入ることです。伝票ベースのシステムを用いていると、正確な情報の入手が困難です。ヨーロッパやアメリカでは、多くの小売業がすでに過去にERPシステムを導入し、現在はマニュジスティクスやI2のようなサプライチェーン統合パッケージの導入機会を調査しています。

コンサルタント会社が起用されることは頻繁でありません
日本では、コンサルタント活動にお金を支払う習慣が普通にありません。コンサルタントサービスは、しばしば、システム業者によって供給される付加的なサービスとみなされます。例えば、コンベヤーベルトのようなロジスティックシステムが導入される際に、サプライヤーは一人あるいはそれ以上のコンサルタントを派遣してクライアントのニードを決定します。このような状況の危険性は、コンサルティングサービスが独立ではないので、客観的なアドバイスでないことです。その一方で、会社間の長期の関係が日本では非常に重要です。このことは、サプライヤーはクライアントのために最良の解決策を選ぶプロセスでエネルギーを多く要すると言うことです。

回転式駐車場
日本では駐車スペースをつくるための、多くの創造的な解決策があります。建物スペースが非常に高価なため、駐車用の高層建築が数多く見られます。自動車の入庫と出庫は全自動化されています。回転懸架台もしくはエレベーターが自動車をしかるべき場所に収容するために用いられます。出庫の際は、その場所から地上に降ろされ、丸いテーブルが車を180度回転させ、ノーズが街に面するようにします。駐車場から出るのはこうしてたやすく、安全になります。

結論

このGSEプログラムは、日本の生活様式、おいしい食べ物、美しい建築そして多くの日本の伝統を体験する機会を私に与えてくれました。日本は美しい山、湖、景勝地を持つ美しい国です。ホスト家庭やその他お会いした日本人のホスピタリティを私は決して忘れません。 日本の諸企業を訪問し、幹部と話しする貴重な機会を得ました。GSE委員会の大きな努力で適切なサプライチェーンに関した会社が選ばれ、ロジスティクス担当の幹部とのミーティングがアレンジされました。日本の幹部達は、サプライチェーンの局面で西洋のアプローチに非常に興味を示しました。日本でロジスティクスに関する知識が利用可能であることは、日本が、ロジスティクスの新しいコンセプト(ジャストインタイム、看板システム、ZDのように)が最初に開発された国の一つであることから当然です。

私はこのGSEプログラムに参加できたのは特権だったと思います。一生忘れ得ない大きな体験でした。