エリック・メーザー(チームリーダー)の報告


オオサカ、ジャパン。その音の響きを聞いただけで、GSEのチームメンバーには、あらゆる種類のエキゾチックなイメージが湧いてきました。それは、日本に以前に来たことがある私にとっても同様でした。チームが発見した現実は、確かにエキゾチックでしたが、それは大都会の雑踏の中に埋もれ、世界の他の大きな近代都市と似ています。大阪は、この上なく近代的で、伝統的な日本の形跡は注意深く探さねばなりません。しかし、私たちは、この旅行に関してはかなり事前準備をした積もりでしたが、かなりのカルチャー・ショックを経験しました。訓練の過程でもっとも役に立ったのは、神戸出身の語学チューター、鈴木ジュンコさんに数回会って、日本語に触れ、文化の美点のいくつかを教わったことでした。ボキャブラリーの多くは忘れましたが、このセッションで少なくとも基本的な文章構造と、単語をどう発音するべきかを理解しました。さらに重要なことは、ネイティブな日本人の話す英語を理解する耳を養えたことで、これは大阪での最初のオリエンテーションを、より価値のあるものにしました。

私たちは、2660地区のロータリアンのお世話を十二分に受けました。それはホームステイ(一人につき約4家庭)と日常の活動の両方です。ホスト家庭にはハッキリした特徴があり、ヴァラエティに富んだ生活体験を与えてくれました。いくつかの家族は明らかに大変裕福で、他の家族は、私たちが「ノーマル」と呼ぶ家庭に似ていました。日本で何が「ノーマル」であり、「平均」か、実際には私たちには決められないのですが。全てのホストは義務的に必要なものを越えて、快適さ、温かさ、家族への所属感を提供してくれました。ホームステイは、おそらく最も価値のある体験で、家庭生活、習慣、興味深い食べ物の豊かな思い出を残してくれました。ホスト家庭は彼らの「ノーマルな日常生活習慣」を私たちに体験させるよう勧告されていましたが、私たちは特別の世話になっている、あるいはとても「日常生活」とは言えないような過保護の感覚をハッキリと持ちました。それぞれのホスト家庭を去るときは心が残りましたが、すぐに次の新しい生活体験になじみました。ホスト家庭はそれぞれ、私たちの毎日のスケジュールを熟知していて、定められた時に、必要な場所へ連れて行ってくれました。休息や毎日の日誌、通信などの必要性は尊重されていました。電子メールが利用できる場合は、どのようにすればよいか、示してもらえました。コンピュータが私たちの寝室にある場合もあり、故郷で起きていることを知り、また日本のGSE委員会のメンバーとコミュニケーションするのに役立ちました。

毎日が異なり、活動が一杯でした。ツーリストが経験するような一般的な観光(ただし、半ダースものロータリアンのエスコートと、通訳が同行し、何処へ行っても特別扱いの便宜付き)から、工場訪問までありました。企業訪問では、見学の前にトップマネジメントに会うことがしばしばで、質疑応答と写真撮影、贈り物が記念としてありました。私たちはまた、行政の幹部にも面会し、その中には大阪市長などが含まれています。このことは、私たちが訪問の結果、意味のある貢献をすることができるのだという感覚を与えてくれました。「職業研修」では、団員それぞれが個別に行動し、専門分野の人たちに会って双方が知識を交換し会う機会がありました。ここでも、その日のスケジュールの責任を持ったロータリアンの奥さん、友人、子息が通訳に当たってくれました。それぞれの訪問は、質疑応答の義務的なセッションを含んでいて、通訳には重い負担がかかりました。彼らは素晴らしい仕事をしてくれました。彼らのコミュニケーションにおける助力がなければ、訪問の価値はそれだけ減じたことでしょう。私の職業はバンキングですが、半ば引退していますので、「職業上の」コンタクトは慈善的なNPOに特別の関心があると強調していました。その研修には、知的、身体的に障害を持つ人たちのための施設、養護施設、リハビリセンター、障害者専門の病院を含んでいました。ハイライトは大きなコンベンション見学で、そこでは障害者を援助する製品が展示されていました。それらは重い障害を持った人でも使える箸(私も欲しいと思いました!)から特別の入浴補助器、車椅子を自動車に乗降させる装置までありました。大銀行も訪問し、幹部と面会して日本の金融の現状、未来への楽観論の欠如と同時に、経済を復帰させるに必要な手段が取られていることを自由に話しあいました。この問題の本質はアメリカが何回も経験したことのようですが、さらに厳しいもののように思いました。

ロータリアンホスト家庭の最大の関心事は、私たちの誰もが迷子にならないこと(!)および毎日をイベントや活動で一杯にすることでした。毎週約24時間の“オフ”が豪華なホテルニューオータニでの宿泊という形でありました。そこで、私たちは忙しい一週間の後、グループとして再結集し、パックし直し、休息することができました。このことは頭を休ませ、4週間中ずっと不足気味だった睡眠を補充する機会をえることを意味しました。二、三日経つと私たちは羨ましいほど優れた地下鉄と公共交通機関を活用して、町とその周囲を動きまわる方法を十分に見つけることができました。しかし、どこかへ私たち自身で出かける許可を得るには、ホストをずいぶん説得しなければなりませんでした。私の最後のホスト家庭、西村医師が、私が彼の自転車を使って(滅多にない)午前の自由時間を、全て思うままに過ごしてはどうかと、提案してくれたとき、私がどんなに幸せだったか想像してください!彼は多くの行き場所を提示してくれました。中にはかなり遠い場所もありましたが、私は賢明にもごく近くを走りまわることにしました。本当に楽しい経験でした。最大の障害は、交通の激しさではなく、他のサイクリストでした。彼らは自転車に乗りながら「携帯電話」を使っているので、気が散っているに違いないと思いました。そんなに怖れる必要はなかったかも知れません。日本人は「マルチタスキング」(同時にいろんなことをすること、訳注)のコンセプトをマスターしています。携帯電話を持っていない人を見かけると、それは例外です!

プログラムの大きな部分として、いろんなロータリークラブにウイスコンシンについてのプレゼンテーションをすることが含まれていました。私たちは全部で10回、そのような公式プレゼンテーションをしました。その殆どは、英語で行われ、メンバーのポール・ローバックが編集したパワーポイントのスライドショーを利用しました。私たちの話は、時には逐語通訳され、また別の場合は聴衆が予め用意された英語と日本語でスピーチ台本を、私たちの話に合わせてフォローしました。多くの人は、私たちの話から英語で何かを十分に汲み取り理解することができたようでしたが、簡単な冗談以外には自分を英語で表現したがらないようでした。私たちの日本語能力は限られていましたが、それでも私たちの名ばかりの努力は評価されました。私たちのプレゼンテーションは、良く受け入れられました。それは全体像ではないにしろ、少なくともウイスコンシンでの生活がどんなものであるかという感覚をホストに与えました。私たちは地域における民族の多様性に話題をしぼりました。それは第2660地区のGSE委員会のリクエストでした。幸運にも団員に環境教育家がいて、自然の多様性およびウイスコンシン州の美観についての別資料も提供してくれました。

公式なロータリークラブ例会に加え、私たちとのコンタクトを深めることに興味のあるロータリアンの小グループから、ディナーの接待を個別に受けました。これらのインフォーマルな集まりは面白くまた価値のあるものでした。私たちは他の場所に移動する前に特定のテーマで時間を使ってしまう例会よりも、このような集いから、日本のロータリーについて多くのことを、おそらく学びました。共通の言語で流暢に話すという恩恵なしに、いかに多くのコミュニケーションが達成できるかということに驚かされました。同じことが、ホスト家庭との素晴らしい「夜のディスカッション」で起こりました。それは私たちの日本語能力あるいは彼らの英語能力を、コミュニケーションの深さで遥かに越えたものでした。しかし、私は日本のホストや友人が使う英語の量に驚かされました。彼らの知識は、私たちの訪問の準備として最近習得したことが多く、有り難く思いました。彼らはコミュニケーションのために大いに努力してくれ、これは素晴らしい出来事でした。

このGSEプログラムとこの交換を可能にするために一生懸命に働いてくださった両地区のロータリアンに対して私たちが表現したい感謝を、言葉で言い表すことは困難です。またホスト家庭、それから日々の訪問を助けてくださったロータリアンの驚くべきホスピタリティにも感謝します。日本チームに会い、町を案内してもらい、またいろんなイベントに参加してもらったこと(空港への出迎え、歓迎晩餐会、過去の日本チームとの同窓会、送別パーティ、空港での見送り)は、連続性を意識させてくれました。そしてもちろん、野村さん、松岡さん、加藤さんからうけた、あくことのない関心とケアには、いくらお礼を申し上げても足りないくらいです。彼らは丸一ヶ月間、グループとしてまた個別に私たちの進歩をフォローしてくれました。国際ロータリー、6270地区、2660地区の役員、それから私たちのGSE体験に寄与してくださった全ての方にお礼申し上げます。GSEはロータリー財団のファンタスティックなプログラムですが、それも関与する地区の人々、その成功のためにまじめに動く参加者があってのことです。

お互いがお互いに大いに寄与し、十分役目を果たし、チームリーダーの私に、この一ヶ月間何の心配も掛けなかったチームを引率できて非常に幸運でした。チームとして、また個人としての彼らを誇りに思います。彼らは私たちの期待に応え、日本のホストや友人にアメリカ人の代表として良い印象を与えました。相互理解が深まり、一生のコンタクトや友情が確立したと感じます。素晴らしいプログラムに対してロータリーに、もう一度お礼申し上げます。