教育はまず褒める、それがアメリカ流

西村恵一

(弦楽合奏団主宰、ヴァイオリニスト、大阪東南RC推薦)

 5週間のアメリカ、ノースカロライナでの滞在中と、その前後を含めて、ここにその成果を御報告いたします。

 出発までの自分自身の準備は、英語を習いに行って勉強しただけで、ホスト地域に関しては、独自で調査はしませんでした。しかし2ケ月に1度ずつくらいオリエンテーションが開かれましたので、そこで資料と共にノースカロライナについての知識を得る事が出来ました。その中で特に印象に残っている事柄は、タバコ産業が活発な事と、南北戦争の舞台になっていたという事です。その他、チームメンバ一で合宿も一度ありましたが、これはメンバー同志の親睦に役に立ったと思います。ベルリッツでの研修ほ、1日8時間の連続2日間でした。これは、体力的には非常に辛いものでした。内容は勿論、レベルが高いのですが、レストラン等でのやりとりなど、一般的なものは各自で学習する事が出来ると思います。又、メンバーは、ノースカロライナについての質問もしましたが、その情報は、後から思えば的確なものとは言えませんでした。

 ホスト国から送られてきた日程表は、役に立ちました。それをもとに、団長が日本語版を作成してくださいましたので、旅行先での全スケジユールが把握できましたし、その他、注意事項や、私達の紹介も一冊にまとめられていた為、旅行中も何かと役に立ちました。

 私は音楽家という事で、学校関係を訪問の際には、音楽の授業を中心に見学する事が出来ました。そこで感じた事は、アメリカの先生方はとにかくよくほめていらっしやるという事です。私は、ヴァイオリンのレッスンを3ケ所で見学しましたが、子供達に対して先生がよくほめるので、生徒達も我先にと弾きたがります。私が最後の週に訪れたスクール・オブ・ジ・アーツは、専門家を育てる、非常にレベルの高い芸術大学ですが、ここでも学生の演奏に対して、教授が惜しみない拍手を送っておられました。日本では少し抵抗のある事なのですが、私は今後、大いに見習いたいと思っている次第です。

 その他、様々な工場や公共施設を見学したのですが、リッチモンド・シニアハイスクールを訪問した時、生徒達は規律正しく整列して私達を迎えてくれました。彼らはインターアクトクラプの生徒達でした。その他の学校では生徒の家族で戦争に行っている人の写真を学校内に掲示したりしていましたので、「ここはアメリカ、いつでも戦争が出来る」と、ふと日本とは大きな違いがある事に気付きました。

 ノースカロライナでの5週間はすべてホームステイという形でしたが、これによって、この旅行は非常に有意義なものとなりました。私達は各家庭で、家族と同じ様に生活する事により、生きた生活文化を体験する事が出来ました。それに何より、国際親善、国際平和というものが、家族という小さな集団の中で、互いに違った習慣を持ちながらも相手を思いやり、協調して生活してゆくところから始まっていくという事を身をもって体験できたのです。他の研修も非常に素靖らしかったのですが、もし、ホームステイがなかったならば、この旅行は大きく変わっていたと思います。これは非常に重要な点です。食と住をどうするかによって、このプログラムの成果は大きく左右されると思うのです。

 日本に帰ってからは、推薦ロータリークラブに報告に伺っただけで、まだ講演等はいたしておりません。しかし今後、是非機会を作って、この体験を多くの方々に聞いていただきたいと思っております。

 このGSEのプログラムは、これに関わるすべての人達の気持ち次第でいくらでも良くなるものと思います。まずチームメンバーの学習欲が旺盛で、相手国に対して尊敬の念を抱いているならば、ホスト国の皆さんもそれを感じとり、本当に親身になって私達を接待してくださいます。お互いが思いやっを持って行動してゆくならば、これからもGSEのプログラムは非常に有意義で素晴らしいものとなっていく事は間違いありません。

 今回私達の旅行にご尽力をいただいたアメリカと日木の皆様に対する感謝の気持ちは言葉では言い表す事が出未ません。私は今後のGSEの為に、又、国際親善の為に、全力をつくして協力する決意を固めている次第であります。